年金支給日にあたる15日、お年寄りを狙った
「天引き詐欺」
の発生を食い止めようと全国で警察官約5万8千人を動員した集中警備がおこなわれた。しかし、力及ばず被害者が各地で続出。警察庁では「犯行を防ぐには新たな法整備が必要」としている。
天引き詐欺は、年金暮しのお年寄りを狙い
「もしもし、おばあちゃん? オレオレ。構造改革のために痛みに耐えることが必要なんだけど、年金天引きさせてくれない?」
「会社で“美しい日本”をつくるって大見栄切っちゃってお金が必要なんだ」
などと言葉巧みに取り入り、銀行口座に入金される年金の一部を天引きするというもの。今年の4月から犯行が目立ちはじめ、被害者は全国で数百万人にもふくれあがっている。
事態を重く見た当局は、全国のATMに警察官を張り付かせる作戦を展開したが、年金が口座に入金される前からカネが抜き取られるという巧妙な手口を前になすすべもなかった。15日に被害に遭ったお年寄りは857万人にものぼると見られ、過去最高を記録した。
警察庁では
「悪質かつ大規模な犯行で、もはや打つ手がない。被害をなくすためには抜本的な社会保障制度の見直しや法整備が必要だ」
とお手上げ状態。政府には真摯な態度で対応策を検討することが望まれそうだ。