高貴な貴族がまたひとり、血に飢えた革命勢力の犠牲に…。囚われの身になり動静の心配されていた貴族・山田ルイ53世(33)が、処刑されていたことが12日までにわかった。処刑方法は残酷なギロチンによる断頭で、革命分子の凶悪さがあらためて浮き彫りとなった。革命勢力側では、
「テレビ露出を独占した貴族の当然の末路だ」
と声明を発表している。
山田ルイ53世はパリ・シャンゼリゼ通り出身。ソルボンヌ大学卒業の才人で、お漫才とショートコンツェルンへの深い造詣で知られる。しかし、お茶の間の笑いを独占してきたことが下々の芸人の不満を募らせ、召使のひぐち君(34)を中心とした共和主義者が
「打倒・貴族の笑い」
の合言葉のもと、革命政府を樹立。ルイ53世の身柄を拘束して一方的な裁判をおこなっていた。
裁判官を務めたひぐち君は、判決に際して
「テレビでいつも自分ばかりが目立ち、ぼくを引き立て役に貶めた罪は万死に値する」
と死刑を宣告。53世は「仲良しコンビやったんと違うんか~い」と必死に抵抗したが、あえなくギロチンの刃の露と消えた。刑場では、亡きルイ氏をしのびワイングラスに注いだファンタグレープを涙ながらに飲み干す観衆がちらほら見られたという。
ルイ53世が絶対王政で統治していた「髭男爵」は、今後「ピン芸人共和制」に移行。国民公会(構成員はひぐち君1名)の指名を受けたひぐち君が、国家元首としてネタを展開していく予定だという。しかし、血塗られた革命により成立した共和体制がすぐに安定したウケを獲得することはなかった。時代はその後、ナポレオンズという英雄の登場を待つことになる…。
「ルネッサーンスのばら」完