埼玉県川口市で中学3年の少女(15)が父親を刺殺した事件で、少女が読んでいたとされる“ミステリー小説”が、
「六枚のとんかつ」
だったことがわかった。埼玉県警では、小説の内容に衝撃を受けた少女が発作的に犯行に及んだものとみて慎重に捜査を進めている。
少女が読んでいた本については、一部で「学研セミ図鑑ヒグラシ編」だったとの報道もあったが、まったくの事実無根。捜査員が少女の部屋から発見したのは
蘇部健一「六枚のとんかつ」
だった。同書は猟奇的作品におくられる「メフィスト賞」を受賞したことでも知られるミステリー小説で、人の劣情を刺激してやまないその内容のあまりのひどさに、発表当時から多くの批判にさらされていた。
警察の調べによると、少女は同書を学校のクラスメートから読むようにすすめられたもよう。この学友は、犯行前日に「“しおかぜ17号四十九分の壁”がすごいから、そこから読むといいよ」とアドバイスしていたとのことで、捜査員は
「寝る前にあんなひどい作品を読んでしまったことに怒りがおさまらず、発作的に父親を襲ってしまったのではないか」
と同情している。少女は学校であまり地理の成績がよくなかったとの証言もあるという。
裏付けが取れれば「バカミステリーは青少年育成に有害」との主張が勢いを増すことは間違いなく、今後規制論議が活発化しそうだ。いっぽう、高名な探偵で数々の奇想天外な殺人事件を解決してきたことでも知られる早乙女ボンド之介さんは、今回の事件について
「少女の父親はラジコンメーカーの技術者で、“無線誘導包丁”の開発をおこなっていた。その包丁がたまたま誤動作を起こして父親を刺してしまっただけ。不幸な事故であり殺人ではない」
との推理を展開している。はたして真相はいかに。