情報処理推進機構(IPA)は7日、情報処理技術者試験の改革に関する中間報告を発表した。「資格を取得した者がかならずしも即戦力になっていない」という企業現場からの注文にこたえ、より使いやすい人材育成につながるよう新たに
「IT土方三原則」
を試験科目に追加することを提言する内容となっている。
情報処理技術者試験はSEなどIT業界で人気の資格試験だが、合格者を採用した企業側からは
- サービス残業や偽装請負のことで文句を言われた
- デスマーチを笑って楽しもうという意欲がない
などの不満が多く、現場で“使える”人材の育成にかならずしもつながっていないという指摘がかねてからあった。今回の改革では、受験者に業界関係者が遵守すべき「IT土方三原則」の習熟度を確認する科目を追加し、IT業界のモラルハザードをふせぐことをねらう。
IT土方三原則は、IT土方の専門家である相澤志茂夫博士が制定した「IT業界で働くうえで守るべき根幹原則」で、以下の三条からなる。
- 第一条. IT土方は納期を守らねばならない。また納期を守らないことによって雇用主に損害を及ぼしてはならない
- 第二条. IT土方は雇用主から与えられた命令に服従しなければならない。ただし、派遣先の社員から指示が出た場合にはこの限りでない
- 第三条. IT土方は前掲第一条および第二条をまっとうするよう、自己犠牲に努めねばならない
最近ではこれに第四条として「IT土方は“うちはベンチャーなんだから”“好きでやってるんだから”と自己洗脳に励まねばならない」と付け加える例もある。
IPAでは、こうした三原則の習熟・遵守を受験者に求めることによりIT業界の生産性が殺人的に向上すると見ており、「新しい年金システムも数ヶ月で完成できる」としている。中間報告の内容については、今後細かい部分で業界との調整を行ったうえで今年秋の試験から適用となる予定だ。