アメリカのゲーツ国防長官は6日、米空軍の最新鋭ステルス戦闘機である「F22Aラプター」の生産中止をオバマ大統領に提言する予定であることを明らかにした。F22は日本では次期主力戦闘機の有力候補とされていただけに今後の国防体制は根本的な見直しを迫られることになりそうだ。しかし、もっと心配なのはゲーツ長官が米議会などから白い目で見られることと、再び米ソ冷戦が引き起こされる可能性が出てきたこと。
この日、記者会見に臨んだゲーツ長官は「開発開始当初とは世界情勢が大きくかわり、F22のようなマルチロールでステルスなどという兵器はコストが見合わなくなった」と説明。自信に満ちた顔で
「ステルス機はもう捨てるっす」
と述べた。瞬間、会見場に居合わせた一同は凍りついたという。
ゲーツ長官の発言に対し、アメリカの上下両院は激しく反発している。特に舌鋒鋭いのは環境保護意識の高い議員連で
「こんな寒いギャグをとばすとは。いくら温暖化が進んでいるとはいえ程度問題だ。許されることと許されないことがある」
とカンカン。場合によっては引責辞任も要求していくかまえで、ようやく落ち着きを見せつつあったオバマ新政権の人事に、ふたたびダメージを与えかねない事態となっている。
いっぽう、発表を受け、もうひとつの軍事大国ロシアもすばやく動いた。元大統領で今も事実上の最高権力者であるプーチン氏は、記者団の取材に答え
「ステルスを捨てる? そんな状態でうちのミグと戦ってみぐのは無謀だな」
と周辺一帯をすばやく寒くしてみせ、早くも東西冷戦再開への準備を整えたようす。たったひとことのオヤジギャグが、いま、世界融和の歯車を狂わせ逆回転を起こしはじめた。ギャグだけにギャグ回転と言えそうだ。