1926年にイギリスの作家ミルンが生んで以来、世界中で愛され続けている童話「クマのプーさん」の続編が今秋発表されることがわかった。ミルンはすでに故人で別の作家の手になるものとはいえ、80年ぶりに公式の続編が出版されることにファンの感慨もひとしおだろう。
新作のタイトルは
「元派遣のプーさん
~自己責任で土に還る」
となる。前作までは“イギリス病”と呼ばれる大不況でアッシュダウンの森に野宿する無職のプー太郎となっていた主人公。毎日下半身丸出しでハチミツなめ放題という生活を満喫していたころとは打って変わり、舞台は現代日本に。プーさんは「キヤノンの派遣なら社宅つきで高収入。気楽に生活できる」というウマい話を聞きつけ、日本の製造業派遣労働者になっていたのだ。しかし、アメリカ発の大不況がまたも主人公を襲う。社宅を追われ、ふたたびプー太郎に…。
仕事はもちろん、住むところもカネもないプーさんは暖かい寝床とハチミツを求めて街をさまよう。しかし、もらえるのは共産党の政権批判ビラ程度。ネットカフェに入って匿名掲示板を眺めてみると、どうやらこうなったのは自分の自己責任らしい。そうか…自己責任だったのか…。
「やる気になれば仕事くらいたくさんあるだろ。
働けプギャーm9(^Д^)」
とのカキコを読んだプーさんは、残りわずかな所持金をはたいて、富士のふもとの樹海を訪れる。やがて空腹に倒れたプーさんは、アッシュダウンの森とは違う樹海の土の冷たさを頬に感じながら、
「土に還る…これがぼくにできる最後の仕事なんだ…」
とつぶやき果てるのであった…。
誰からも愛される風貌と情緒豊かなストーリーで子どもたちを育ててきたプーさん。新作では、来るべき大恐慌下で「自己責任」の思想を幼少期から徹底させ、けっして政治の無為無策のせいなどにさせない教育の役に立ってくれそうだ。発売は10月5日予定。