2兆円の定額給付金に対し野党などから「ばらまきだ」との批判が出ていることについて、麻生太郎首相は6日に長崎県内で開かれた街頭演説で
「ばらまきでなくクリスマス向けの種まきだ」
と、強く反論した。多くの国民に納得感を与えるとともに、一部からはさらに批判が強まりそうだ。
演説は五島市内で開かれたもの。与党支持者らが取り巻くなか、演台に立った麻生首相は
「不況、不況と言われるが、根本的な原因は少子化に基づく社会全体の閉塞感にある」
と指摘。少子化の解決=子作りこそが急務であるとの考え方を示した。定額給付金は、この子作り支援のために考え出されたもの。特に子作り最適シーズンであるクリスマスが近いことから「種まきを狙ったものだ」と力説する。
首相によれば、1人あたり1万2千円という給付金の額は都内ラブホテルの「ご宿泊」平均額を元に算出されたもの。
「クリスマスイブにはぜひラブホにお泊りしていただき、子種を仕込んでもらいたい。そういう趣旨。うまくいけば十月十日後には日本中に新たな生命が誕生し、少子化改善→景気回復につながるはずだ」
という。あまりの深慮遠謀ぶりに、会場からは「この人を首相にしてよかった」と一斉に拍手がわきあがった。
だが、こうした説明に異論を唱える向きもある。
「ラブホ代を出してくれるのはいいが、そもそも相手がいない人はどうやって種まきをすればいいのか。首相は“女性にモテない”庶民の感覚がまったくわかってない」
と批判するのは、都内でネット新聞を発行するbogusnews編集主幹さん(28)。また、イブの夜はラブホの空室率が低いほか、“ならば”とシティホテルのクリスマスプランを予約しようとしてもすでに埋まっている─といった「どうせ関係ないのになんで調べたんだ」という指摘もある。種まき給付金の実効性についても、まだまだ疑問の余地がありそうだ。