政府の教育再生懇談会(座長・安西祐一郎慶応義塾長)は26日、首相官邸で会合を開き「小中学生のケータイ所持は音声とGPS機能のみの端末に限るべき」と提言する報告を福田首相に提出した。子どもたちのネット利用に対しジワジワと包囲網がせばまりつつあるようだ。しかし、小中学生も負けてはいない。規制をすり抜ける新たな技として、いま彼らのあいだで流行しつつあるのが
「人間カプラ」
だ。
「ピーガー…ピガガガガガガガ…」ケータイに向け珍妙な声を吹き込んでいるのは、足立区に住む吉田謙一くん(12)。半年ほど前、親にケータイを買ってもらった謙一くんだが、あいにくフィルタリングを契約させられネットへのアクセスはできない。そこで一念発起して覚えたのが、この「人間音響カプラ」の技。ケータイからインターネットプロバイダのアクセスポイントに電話をかけ、脳内でアナログ変換したデジタルデータを声として吹き込む。これなら音声機能のみの端末でも、インターネットのさまざまなサイトに自由にアクセスできる。
謙一くんは、
「最高で4800bpsくらいしか出ないけど、学校裏サイトくらいなら文字情報がメインだから支障ないよ。ほら。ガガガガ…」
と実演してみせる。たしかに目の前で裏サイトの掲示板に「まさお、市ね」と書き込まれるのを確認できた。しかも、この方法ならコンテンツフィルタリングも無力化できる。自由さがウケて、今では謙一くんのクラスのほぼ半数の生徒が人間カプラをあやつり、ネットを楽しんでいるとか。
子どもたちのたくましさと知恵の結晶とも言える人間カプラ。記者も敬意を表して、この記事のたいへんためになってゲラゲラ笑えるオチをカプラを介して送信してみることにしピーガーピーーガガガガガガガ、ピーガガガガガガガガ…。