奇才・ペロー庵野監督が、出世作にして伝説のアニメ「新世紀サンドリヨン」を10年ぶりに撮り直したリメイク作品。かつてのテレビ・旧劇場版公開時には、熱狂的なファンに「わたしも主人公みたいになりたい」という「サンドリヨンコンプレックス」を巻き起こし、社会問題にまで発展した。
あらすじ:美しい娘・シンジレラは、別居していたいじわるな母親に突然呼び出される。久しぶりの再会。だが母は、なんの説明もなく家事を一方的に押し付ける。
「母さんはいつも勝手だよ!」
そこへお城から舞踏会の知らせがやってきて、シンジレラは否応なく社交界の大きな陰謀に巻き込まれてゆく…。
基本的なストーリーは旧作を踏襲している。シンジレラがサンドリヨン初号機「カボチャの馬車」に初めて乗り込むところでは、旧来のファンはかつての感動と興奮をまちがいなく呼び起こされることだろう。しかし、すべてのシーンが現在ならではの技術を駆使して描き直されているため、テレビ版とは次元の異なるリアルで美しい描写を実現。カボチャの馬車操縦室内に充満するLCL(カボチャの果肉)でシンジレラのドレス臀部がベッチャリと汚れるようすまで描き込まれているのには驚いた。
また、声優の演技力も格段の向上を果たしている。シンジレラが
「センターに入れて玉の輿に乗る…
センターに入れて玉の輿に乗る…」
とつぶやく場面は女性の鬼気迫る結婚願望に満ちており、ゾッとさせられた。
「序」は、今後4作に渡ってつづく新たなサンドリヨン世界の序章に過ぎない。旧作で物議をかもした「ふたりきりの初夜を迎えたシンジレラが、馬乗りになった王子のイチモツを見て“気持ち悪い…”とつぶやく」あのラストシーンがどうなるのか。興味のある方は今から劇場に足を運んでおくべきだろう。