安倍首相は22日、経団連(代表:御手洗冨士夫会長)が提言している
「早朝出勤代ゼロ法案」
こと日本版サマータイム法案について、「ぜひ前向きに検討したい」として与党幹部にプロジェクトチーム立ち上げを含めた作業に着手するよう指示した。早朝出勤代ゼロ法案は北海道の一部などで実験的に導入されたことはあるものの、全国的に施行する試みは戦後の占領期以来およそ60年ぶり。
夏期に入るとき時計の針を一時間早くずらすことで夏の日の長さを活かそう─というのが、この早朝出勤代ゼロ法案。いちおう建前として「地球環境のため」というお題目が唱えられているが、現実には国内年間使用エネルギー量の0.125%を削減できるに過ぎない。実際に経団連が早朝出勤代ゼロ法案へ期待するのは「サービス残業の代替」としての効用だ。
原理上翌朝の出社時間までしか行わせることができないサービス残業には、もはや時空的限界が指摘されつつある。しかし、出社時間前に「サービス出勤」を強制できる早朝出勤代ゼロ法案なら、一挙に従来比二倍の不払い労働を確保することが可能だ。
「早朝出勤代ゼロ法案の導入は、今後のグローバリゼーションの進展の中で日本が国際競争力を維持していくために不可欠」
と御手洗会長は力説する。時差出勤である程度緩和されている出勤ラッシュをさらに過酷にし、ぎゅう詰めの電車の中で国民に「おまえたちはボルガの舟曳き以下だ」との自覚を植え付ける効果もある。
首相は午前に官邸で行われた会談で御手洗氏に「早朝出勤代ゼロ法の導入を前向きに検討する」と回答しており、早ければ参院選前にも人知れず可決しておきたい方針だ。記者団からの質問に対しては、
「早朝出勤代ゼロ法案には、厳しい労働で国民を困窮させセックス以外に娯楽をなくすという利点がある。貧乏子だくさんで少子化対策にも役立つ」
とし、国民に早朝出勤代ゼロ法案への理解を呼びかけていた。