首相官邸でここ半年ほど飼われ、関係者の癒しのもととなっていた“ワンちゃん”が、昨日の夕方から行方不明になっている。官邸で業務のかたわら世話をしてきた人々は突然の失踪に困惑しつつ、
「生活力がない犬なので、ぶじにやっているかどうか…」
と気をもんでいる。
いなくなったのは、ブルドッグの通称
「シンゾー丸」
だ。シンゾー丸は昨年、永田町の首相官邸に迷い込んでぶるぶる震えているところが内閣官房付技官の目にとまり、不憫に思ってエサをやるなどしているうちにすっかりいついてしまったという。最近ではすっかり官邸の“アイドル(idle)”となり、中国の温家宝首相も表敬訪問するなど話題を呼んでいた。
しかし、26日の夕方ごろから姿が見えなくなり、好物の中華粥を出して呼んでも返事がないとのこと。
「いつもならエサを出すといやらしい目をしてしっぽを振りながら飛んでくるんですけどねえ。どこ行っちゃったんでしょう…」
とは、いちばん仲の良かった事務官の弁。心配されているのはシンゾー丸の生活力のなさだ。「とにかく自分では何もやったことのないやつなんです。エサもまともに探せないだろうし…まあ、強いヤツにへつらう処世術と変わり身の早さだけはあるんですけどね」とのこと。“彼”はいつか戻ってくるのだろうか。戻ってこなければこないほうが国民にとってはいいことなのではないか…そんな不思議な想いが記者の心にこみあげてきた。
なお、シンゾー丸は狂犬病ワクチンの接種を受けておらず突然キレる傾向があるため、万一見つけた際には保健所にご一報いただくか、その場で射殺してほしいとのことだ。