警察庁は26日、警察官が不在となるいわゆる「空き交番」が4月1日をもってゼロになったことを明らかにした。空き交番は2004年時点で1925カ所存在するとされていた。たった3年で“正常化”を達成した奇跡の裏には、警察庁の起業精神による真摯な取り組みがあった─。
都内足立区にある東綾瀬公園前派出所。“空き交番ゼロ作戦”のモデル交番として紹介を受け、記者は取材に訪れた…。ちょうど当番のあけた警察官が
「おつかれさまでしたー」
と、拳銃をブラつかせながら帰るところだった。これから近所のパチンコ屋でセット打ちをするのだそうだ。手を振り見送っていると、無人となった交番にジャージ姿の若者たちがわらわらと集まってきた。彼らはあれよあれよという間に、看板を
「綾瀬
焦破亜怒 」
と掛け替え、中でけだるそうにダベりはじめた。
この若者たちは地元「焦破亜怒」所属のヤンキー。警察官が不在となる夜間だけ交番を借り受け、カツアゲ・レイプなどのチーム活動を行っているのだそうだ。代わりに月10万円のショバ代を所轄署に支払う必要があるが、「交通アクセスもイイしチョーべんり」と好評だ。いっぽう、貸し出し中の交番は統計上“空き交番”ではなく“レンタルルーム”と見なせるため、空きゼロのノルマを達成したい警察庁側にも大きなメリットがある。
警察庁が発案したこの「レンタルルームビジネス」で、転換した空き交番は全国1200カ所。当初は借り主を探すのに難儀したそうだが、教育再生会議の義家弘介座長や安倍総理の推薦を受けて営業攻勢をかけた結果、ヤンキーや暴力団を中心に利用が進んだという。残る700カ所の交番については僻地で利益が見込めないため思い切って廃止。空き交番ゼロ達成の裏には、まさに鋭いビジネスセンスがあったというわけだ。
地元の人々にも
「どうせ警察も一種のヤクザなので、これならたいして変わらない」
とおおむねよい評価で迎えられている。体感治安を良くするには、あとは警察が統計を偽装するだけですむ。今後の社会秩序の混乱が期待できそうだ。