アメリカの国防関係高官筋は9日、有人月探査計画に向け技術開発を進める中国に対し
「同国の現有技術でじゅうぶん実現可能なはず。宇宙開発を隠れみのに軍事力拡充を企図しているとしか思えない」
との懸念を表明した。今後、宇宙を舞台に米中のにらみあいが激しくなることが予想される。
中国の月探査は、今後15年程度をめどに実現する方向で国家規模のプロジェクトが立ち上げられている。しかし、米当局の調査によれば中国は現時点でも月到達可能なリソースを保有しているという。「膨れ上がるいっぽうの軍事予算を“宇宙開発”に付け替えることで、国際社会の目をあざむく意図があるに違いない」と、アナリストは見る。
米側の試算によれば、現在の中国の総人口は約12億。1人あたり1.6メートルとしても、ふつうに組体操で人間ばしごをつくるだけで192万キロ上空に到達できる。月までの38万キロを、余裕で往復してまだあまるはずだという。中国の組体操技術は上海雑技団でかなりの蓄積があり、「かけ声さえかければ明日にも月面に到達するはず」とのこと。
中国側の関係者は「いまだに“人月神話”から脱却しきれていない発想だ」と米の懸念を一蹴しているが、消息筋によれば「国際的な不信を払拭するには、やはりひとりっ子政策の徹底が不可欠」との見方が党上層部を中心に広がっているということだ。