自民党の中川昭一政調会長が13日、都内のコンビニで
「おでんにトマトを入れることを前向きに検討していくべき」
と発言していたことが明らかになった。おでんタネの主役を大根・たまご・こんにゃくと定める「おでん三原則」の否定とも受け取れ、国内外で大きな論議を呼びそうだ。
調べによると中川会長は同日深夜、永田町近くのコンビニエンスストア「セブン-イレブン」を訪れ、
「おでんにトマトが入ってない。トマトのリコピンに抗酸化作用があることが判明している現在、健康も考えて具に加えることを前向きに検討していくべきだ」
と店員に注文をつけたという。
我が国の誇る「おでん憲章」では、おでん三原則として大根・たまご・こんにゃくを具に入れることを定めている。煮汁を赤く汚染する危険性の高いトマトを採用することは、とりわけ色のつきやすいたまごと相性が悪い。このため、識者のあいだでは「トマトは三原則違反」とするのが定説だ。おでん専門家のリリー・フランキーさんは、
「おでんを血の赤で染め上げかねない危険思想」
と中川氏を批判する。
同氏は14日午後、記者のインタビューに答えるかたちで
「わたし自身はトマトを入れるべきだと思わない。ただ、そういう議論を広くしていくべきとの視点から発言した」
と釈明している。いっぽう、麻生太郎外相からは定例会見の場で、
「日本は民主主義国家ではないから、おでんの具は空気を読んで決めるべき。トマト投入の議論を封殺すべきでない」
と、中川氏を擁護するとも受け取れる発言があった。
おでん問題については、先ごろ森元首相が
「日本は“お多幸”を中心とする田楽の国」
と失言して物議をかもしたばかり。おでんに関することだけに、政治家が“煮え切らない”態度で誤りをうやむやにするのは避けてほしいものだ。