青森県八戸市のアパートで母子3人が殺害・放火された事件で、青森県警捜査本部は容疑者の長男(18)の部屋から
「猟奇的な家族を描いた漫画」
を押収したことを明らかにした。県警では、おぞましい漫画に触発されたことが犯行につながった可能性もあるとみて、慎重に捜査を進めている。
捜査本部によれば、見つかった漫画本は
「異常なほど肥大した頭部をもつ奇形女性と、その家族の生活」
を描いたもの。主人公女性以外の登場人物も気味の悪いものが多く、
- 頭頂部に謎の触覚の生えた主人公の父
- 驚くとカラダが「く」の字に変型する奇病に罹った主人公の夫
- 生まれながらにして言語野に損傷を受け、語尾に「ですぅ」をつけてしまう障害をもった主人公の子
- 春夏秋冬パンツ丸出しで歩かずにはいられないニンフォマニアの主人公の妹
など多数。読むだけで吐き気をもよおす内容だという。
ストーリー面でも、
「三世代同居の抑圧された家庭にムコ入りした男性が、陰に陽に一家からいびられる」
「見た目のパッとしない不動産屋の娘がクラスを資本の論理で牛耳る」
など家庭や社会に絶望させるような描写が多く、県警では「こうしたフィクションを現実と混同した長男が、家族の将来に悲観したあげく犯行に及んだ可能性が高い」と見て裏付け捜査を進めている。
精神科医の香山リカさんは、
「この作品のアニメ版も陰鬱な描写で知られ、日曜日の夕方に視聴した人々を落ち込ませるという現象が問題になっている。自主規制を含め、なんらかの対策が必要なのではないか」
と見る。猟奇的家族を描いた作品は近年急増しており、「顔に縦すじの入る丸顔娘の一家」を描いたもの、「すぐに性器を露出する子どもに悩まされる一家」をとりあげたものなどが話題になっている。行きすぎた表現の自由に対し、今回の事件をきっかけに規制を求める国民的議論が高まりそうだ。