ネット時代ならではの難病に、人知れず苦しんでいる人たちがいる。アルファブロガーに認定されることに異常な恐怖を感じ、最悪の場合死に至ることもあるという奇病、
「アルファブロガー認定恐怖症」
の患者たちだ。病気の存在があまり知られていないため、世間の無理解に苦しむ彼らの日常に迫った。
「こわい、こわいよ!」
端麗な容貌の美青年がうなされている。硬派ニュースサイトを運営するbogusnews編集主幹さん(28)だ。アルファブロガー認定恐怖症(ABCD。Alpha Bloggers Confirming-phobia Disease)を発病して三年になる。blogに執筆した記事が世間の信頼を集め尊敬されると原因不明の悪寒が全身を駆けめぐる─そんなABCDのつらい症状に、長く苦しんできた。
「毎日が恐怖との戦いです。できるだけ症状を和らげるため、最近ではわざと記事のクオリティを落としたりもしているのですが…」
主幹さんは力なく微笑む。
ABCDの原因はまだ判明しておらず、厚生労働省の特定難病に指定されている。患者には
- そっとしておいてあげる
- 遠巻きに暖かく見守ってあげる
のがいちばんだが病があまり認知されていないこともあり、一部の心ない人々からアルファブロガーアワードにノミネートされるなど嫌がらせを受けることもあるという。
「とんでもない話ですよ。私は少しでも力になろうと、断腸の思いで彼を誹謗する記事をblogにアップしたりもしたのですが…」
と語るのは、主幹さんのソウルメイトだというブロガーのfinalventさん(45)。「彼を少しでもあわれんだり好きだと思う気持ちがあるのなら、絶対に投票などしないでほしい。恐怖のあまり死んでしまうかもしれない」と訴える。
主幹さんは
「いつかABCDが治ったら、こんどは“かわいいお嫁さんがこわい”病気も治したい」
と夢を語る。スリーサイズを明記したプロフィール写真つきの記入済み婚姻届を送りつけるような嫌がらせは、けっしてしないようにしたいところだ。