今月初旬に起きた犠牲者2名を出す惨事など、ヘリによる事故が相次いでいることを受け、国土交通省は13日、業界指導や被害者支援へ乗り出すことを決めた。ヘリに関連して中央官庁が動きを見せるのはきわめて異例。
国交省が重い腰を上げるきっかけとなったのは、先週富山県で起きたヘリ事故。県内に住む自営業・楢山正継さん(65)が、自宅で耳かきを探している最中に誤ってタンスのヘリで右足の小指を強打。悲鳴に驚いて駆け付けた妻の正子さん(62)が反対側のヘリに左足小指をぶつける─という痛ましい連鎖事故に、国民の多くが顔をしかめた。
ヘリによる事故はこれまで注目されてこなかったものの、年間10万件程度発生しているとの試算がある。国交省は「今後は高齢化の進展によりさらに犠牲者が増える」と重要性を強調。各戸にヘリの危険性を啓蒙する小冊子を20億円かけて配布するほか、60歳以上の被害者に限って見舞金をバラまく制度の実現を検討する。
いっぽう、若いワーキングプアや片付けられない女からは
「うちにはそもそもタンスがない。タンスのある富裕層に限っての支援はひどい差別だ」
との声もある。国交省は耳を貸さない方針だ。