27日、東京・築地の中央卸売市場では、昼過ぎからナマコの価格が高騰。佐渡産の天然ものがキロあたり3,000円前後と前日比180%の高値が出るなど、贈答シーズン以外では珍しい取引が目立った。大手コンビニチェーンの「セブン-イレブン」が春から導入する電子マネーについて、具体的な発表を行ったことを好感したものと見られる。
同市場の吉田健三郎さん(52)によれば、この日の取引の中心となったのは活きのいい近海ものナマコ。
「通常ならお歳暮か敬老の日あたりで需要が高まるのだが、この時期にこれほどの高値で引き合いがあるのは珍しい。私の代になってからは初めてではないか」
と語る。新鮮なうちに酢のものにしたり、和え物にするとおいしいという。
引き金になったのは、セブン-イレブンが
「4月23日から独自の電子マネーとしてナマコを展開する」
とした報道と見られる。電子マネーは、すでにJR東日本から「スイカ」、ソニー系の「エリンギ」、さらに3月には「もずく」がサービスインしているが、鮮度が問われる海産物を採用するという野心的な試みに注目が集まっている。
築地市場の関係者は、全国1万店舗を数えるコンビニでの採用が「ヌルヌルしてキモい」「死んでも食べたくない」と不人気だったナマコのイメージチェンジにつながるのでは…とも期待する。いっぽうで、電子マネーとしてのナマコには
- 持ち歩きにくい
- 店が生臭くなる
といった克服されていない課題が多いとの指摘もある。流通の巨人はナマコで電子マネーをも制することができるか…そのゆくえは、依然ヌルヌルして掴みどころがないままだ。