消費を刺激し戦後最長景気の原動力となってきた萌えが、いまツケとなって跳ね返ってきている。消費し終わり、捨てられた萌えるゴミの処理が大きな負担となりつつあるのだ。各地方自治体では、あまりの量の多さに悲鳴をあげている。
東京・秋葉原近くにある万世橋清掃工場。23区内で出た萌えるゴミはここで処分されているが、最近では一日の処理能力を超える20万トラ(トラは萌えの容量単位)が搬入されてくることも。工場長の岡田良行さんは
「前はお気に入りの萌えが運ばれてくるとウチに持ち帰るくらいの余裕があったけど、今は処理で手一杯だよ」
とこぼす。岡田さんの自宅には、すでにメガネ委員長が108人も引き取られている。
中野区では、とりわけ量の多いメガネ萌えゴミの回収有料化を検討中だ。埋め立て処分場の中野サンプラザ跡地が07年中にも満杯になる恐れがあるためだ。専門家は「萌え消費が今のペースで続けば同様の動きは全国に広がる」とみる。
萌えるゴミ激増の原因は、やはり「粗製濫造」。女性の質を問わずメガネをかけただけで萌えを名乗る商品が市場にあふれ、消費者にも使い捨て感覚が定着してしまった。価格破壊はネコミミ萌え、妹萌えにも波及しつつある。2月はじめ現在、姉萌えの取引価格はトラあたり20円にまで下落している。安価に流入してくる萌えにトコロテン式に押し出された古い商品が、続々と萌えるゴミになっているわけだ。
岡田さんが、似たようなメガネの目立つゴミの山を前に淋しげに語った言葉が印象に残った。
「むかしはひとり自分の部屋にこもって、自分なりの萌えをひっそり楽しんだものなんですけどね…」
萌えるゴミ問題の解決には、まず“押し付けの萌え”をむさぼる消費者の意識改革が必要なのかもしれない。