東京・秋葉原で、多くの人が行列をなして「フロッピーディスクドライブ」(FDD)を買い求めるという珍事が、29日から30日にかけての深夜にあった。FDDは一般には前世紀の遺物と目されており、なぜ21世紀の今日になって売れはじめたのか、関係者は首をかしげている。
ハプニングが起きはじめたのは前日29日の夜11時ごろから。秋葉原のパソコンショップ前に異様な風体の人々が長い列をつくりはじめ、
「まだか、まだか」
と待ちわびるようすが目をひいた。やがて、「3、2、1」のカウントダウンとともに時計が深夜0時を打つと、客たちはどっとFDD購入のため店内に走り込んだ。
売れ筋のFDDは3万円前後のグレードが中心で、一般に千円以下も珍しくない相場と比べると30倍の高値。FDDのトップメーカー・ミツミ電機の担当者は、
「ものすごい粗利率になる。ラインの主力をFDDに戻して増産につとめたい」
とホクホク顔だ。
30日はマイクロソフト社の最新OS「Windows Vista」の発売日。最先端テクノロジーを搭載したOSが売り出された日に、ローテクの象徴であるFDDが売れている原因は一般人には不明のままだ。この件について、フロッピーの専門家である麻生太郎外務大臣は、記者の取材にこたえて
「やっと時代が私に追いついてきたという感じだ」
とコメントしている。