就任と同時に安倍首相が打ち出し、世間をあっと言わせた「みずからの給与を30%削減する」宣言。
「財政再建のため、自分から率先して血を流すなんて…」
と庶民の感動を呼んでいる。その理念は一般企業にも伝わり、「安倍さんに続け!」と同様の施策を採る経営者が続出中だ。
愛知県内のトヨタ下請け工場。今週水曜日の朝礼に参加した日系ブラジル人のケニー大山さん(34)は、朝礼で工場長から訓辞を受けた。
「美しい日本をつくるために、給与を30%削減する」
大山さんのこれまでの時給は850円。今後は30%カットの595円となる。
「削減ぶんが、放漫経営で倒産したゼネコンやベンチャー起業家の再チャレンジに役立つならうれしい」
と、大山さんは背後の工場長の視線を気にしながら語る。
都心のコンビニエンスストアでアルバイトとして働く吉田健太郎さん(27・仮名)も、30%ルールに賛同する。時給950円の深夜シフトで働く吉田さんは、月手取りが13万円。先日オーナーから削減を通告され今後は月額9万5千円での生活となるが、雑誌の品出しにいそしみながら
「美しい日本のためなら」
と話していた。
安倍首相の年給与額は3,652万円(平成15年度実績。夏冬賞与込み。住居・交通費全額別途支給)。30%ルールで目減りする額はおよそ1,000万円ともなり、これらワーキングプアの愚民どもが流す“血”とはケタが違う。首相の苦難もただならぬものと予想されるが、少年時代に亡き父が国会議員選挙落選で失業の憂き目に遭った際も、
「知り合いの会社の顧問になるからだいじょうぶなんだ」
とけなげに乗り越えた人間力でなんとかカバーできるはず。お小遣いで甘いものを食べ過ぎないよう、むだづかいに注意してがんばっていってほしいものだ。