「一般社会的には、はてなは“はてな? ナニソレ”ってなってるらしいですね。ネットオタクのあいだでは“Web 2.0企業”ってなってるけど」
他人事のようにつぶやくのは、ほりごたつフェチなどの奇行で知られるはてなの近藤淳也社長。ゴールデンウィーク直前の、とある日の午後。弊紙インタビュアーに、Web2.0ブームに対する心情を吐露する。
同社は、遅筆な著者・梅田望夫氏が編集者と二人三脚でマッシュアップしたWeb2.0的書籍「ウェブ進化論」で紹介され、一挙に「オタクがいっぱいいる会社」として注目を集めた。以来、Web2.0に関する取材がひっきりなしにくるようになったという。だが、近藤氏は
「Web2.0なんてラノベに過ぎないんですよ」
と断ずる。
「うちの会社も、社員が『えすかりぼるぐー! ぴぴるぴぴるぴー』とか言ってる。『涼宮ハルヒ』を視るためにU局の電波が届く地域に引っ越した者もいますよ。我が社は、こういった技術者に対する支援を惜しみません。なぜならWeb新時代の技術者にとって、ライトノベルは共通言語だから」
はてなの本棚には、角川スニーカー文庫が発売日に直接入荷する。同社の数少ない福利厚生のひとつだ。
「月120時間残業でも、ラノベさえ与えておけばこいつら平気なんです。まあ、富士見ドラゴンブックが発売延期になると地獄を見る、というデメリットもありますがね」
「Web1.0時代は大作RPGが共通言語だった。でも、これからは時代遅れですよ。弊社でもいまだにFFとかクソゲーをプレイしてる技術者がいますが、最近は浮き気味ですね」
と語る近藤氏。新時代のヘンな会社の裏側で、ドロドロした権力闘争が行われているようすがかいま見えた気がした。
- 2006
- 05/03 06:40