私たちの身の回りには、今やさまざまな化学式で表される合成物質があふれている。日々使用している化粧品類はもちろん、砂糖のような食品添加物も合成物質だ。もちろん、これらのモノはカラダに悪いことこのうえない。そこで昨今、エコロジーに敏感な人々のあいだで注目されているのが、まったくの天然成分由来でありながらさまざまなものに加工できる
「ペトロリアム」
だ。
ペトロリアムとは何かを説明するには、数億年前に地球上に栄えていたプランクトンや藻にまでさかのぼる。原始地球で太陽の光の恵みを浴びてすくすくと育ったプランクトンたちは、やがて海の底に堆積し地殻変動などの影響を受けて液状の物質になった。これがペトロリアムだ。形成過程の説明からわかるとおり、ペトロリアムはすべて天然由来の成分でできており、化学合成されたりムダな添加物を加えられたりしていない。とてもカラダにやさしい物質だということで、さまざまな用途に加工され使われるようになってきているのだ。
ペトロリアムの用途でもっとも身近なのは、シャンプーだろう。シャンプーといえばC11H23COONaなど極悪な合成成分がたっぷり含まれた製品だが、最近ではペトロリアムをたくさんの職人が加工してつくった「超天然シャンプー」が注目されている。肌に触れるものとしては化粧品の多くにもペトロリアムが活用され、より女性の肌を傷つけないよう配慮する流れができつつある。また、男性諸氏にも無関係ではない。ふだんから身につけている肌着の「繊維を天然由来に」というムーブメントのおかげで、最近はペトロリアムをもとにした繊維が使われているやさしいものが多い。
天然で人にやさしいものは、もちろん地球にもやさしい。ペトロリアムの研究でいまもっとも熱いのが、
「海へのペトロリアム」
の散布だ。英国のブリティッシュペトロリアム社は、汚染のはげしいメキシコ沖でペトロリアムを大量散布することで浄化する実験をおこなっている。成果も今のところ上々とのことで、担当者は「地球上に巣くうダニどもを全滅させるまであと一歩だ」と自信を伺わせる。時代はエコ。ペトロリアムの今後いっそうの活用に期待したい。