“派遣切り”に遭い住家をなくした元派遣労働者数百人が東京・日比谷公園の「年越し派遣村」に集まり話題となっているが、意外な人たちもこの派遣村で寒さをしのいでいることが3日までの取材で明らかになった。その人たちとは、新番組「仮面ライダーディケイド」に出演予定だった
「派遣ライダー」
の9名。「正義を守るはずの彼らまでなぜ…」と関係者らは胸を痛めている。
この9名は、テレビ朝日・東映と派遣契約を結んでいた仮面ライダークウガさん、アギトさんら。1月末放映開始の新作ライダーが「過去10年の平成ライダーがすべて登場する」という設定だったことから1年間の派遣契約を結んでいたが、12月末に突然
「予算が大幅に削られた。主役以外は書き割りか過去のフィルムですます。旧作ライダーは契約解除とする」
との通告を受けた。さいたまスーパーアリーナ近くにあった派遣ライダー専用の寮からも年末で追い出され、あてがなくなったことから派遣村に来たという。
最近、正義のヒーローについては供給過剰が続き地方都市では無職ヒーローがヒモ化するなど問題化していた。これに不況や小泉政権下の規制緩和・ライダーフォームの急増などが重なり、2002年の「仮面ライダー龍騎」から出演ライダーは基本的に派遣契約となっていた。ライダーのひとり、カブトさんは
「契約とはいえいきなり切られるとは。“仕事なら正社員におなり”とおばあちゃんが言ってたがホントだった。今後が不安だ」
とうなだれながら炊き出しの豚汁をすすっていた。
派遣村村長の湯浅誠・NPO法人自立生活サポートセンターもやい事務局長は
「突然職ばかりか住む家まで失えば、ヒーローもただのホームレス。正義を守るどころではない。子どもの夢も失われる。トヨタなどの経営者に言いたい。“あなたは自分の子どもに正義とは何か語れますか”」
と、記者会見で企業の対応を批判した
編集部注)
担当の弊紙編集主幹が昨日から急に彼女と連絡がつかなくなったことにあわてているため、「派遣ライダー切りの裏にある井上敏樹の責任」などについて取材が掘り下げ不足であることを深く陳謝いたします