間垣部屋の大相撲前頭の若ノ鵬がタイマ所持で逮捕された。同容疑での関取の逮捕は初めてで、相撲協会全体を揺るがしかねない大きなスキャンダルとなっている。だが問題は角界だけにとどまらない。タイマ汚染は、すでに若年層男子を中心に国民レベルで広がっているというのだ。
都内足立区の公立高校に通うAくん(16)も、タイマに毒された若者のひとり。それは夏休み中に参加した陸上部の練習のとき起きた。監督もコーチもおらずたるんだ雰囲気のなか、計測係をしていた部員のひとりが
「オレ、5秒ピッタリで止められるぜ!」
と、タイマをもて遊び始めたのだ。すると「オレならもっとピッタリいける」「オレもオレも」と周りの男子みんながタイマに耽りはじめ…気がつけばAくんも輪の中にいた。
Aくんは
「貴重な人生のひとときをムダにする、愚かしい行為だと頭ではわかっていた。でも…いちど手を出すとやめられなくなってしまう。まさに麻薬だと思った」
と苦悩に満ちた顔で告白する。今でもタイマのひどい離脱症状に苦しんでおり、自宅で家族の目を盗んでは5秒ピッタリにチャレンジしているという。
文部科学省の統計では、タイマ常習者は男子学生やサラリーマンが多数を占め、タイマに浪費される延べ時間は「一年に全国でおよそ2万時間」という。社会の生産性向上のためには解決が急務だ。識者は、
「携帯電話の普及に伴い腕時計の着用がまれになったために、タイマやストップウォッチへの耐性が低下したことが流行の背景にあるのでは」
と指摘しており、ここでもケータイの有害性があらわになったかっこうだ。