かつて謙遜こそ美徳とうたわれ、沈黙は金と重んじられた美しい国・日本。しかし、今や猫も杓子も自己主張の口を閉じず、
「自分はカッコイイ」
「自分は素晴らしい」
と大きな態度に出るばかり。変容し、節度を失った日本人に「分をわきまえるべきだ」と訴えているのがコラムニストの勝谷誠彦さん(46)だ。記者はさっそく取材のため、長野は軽井沢に飛んだ。
「すいませんすいません、ぼくなんか医者の家のボンボン育ちで大したもんじゃないんです。学歴に頼って入った大会社の名前で食べてきましたが、出身校も単位偽装しまくってますし、もう生きる権利なんかないんです。死にます今死にます」
さすが憂国の士である勝谷さん。会うなり自分の分をわきまえはじめ、リストカットに走ろうとした。これでは取材にならないのでひとまず安定剤を服用して落ち着いてもらい、ようやく話を聞くことに。
「ぼくにこんなこと言う資格なんかないんですけどね、ホント最近の日本人って偉そうじゃないですか。隣近所の国のことアラ探しでバカにして、たくさんの人が触れるメディアで堂々と悪口言うでしょ? テレビでも朝から汚い言葉でののしったりして。ああいうの、ぼく、よくないと思う」
とおどおどしながら語る勝谷さん。日本がこうなってしまったのは、「分をわきまえる」ことを忘れたことが背景にあると指摘する。
「国の経済がパッとしなくなってみんな自尊心をくすぐってくれるものを求めてる。そうすると
“自分は偉いんだ”
“あいつらはおかしいんだ”
と思わせてくれる週刊誌が売れたり、口だけ威勢のいいこと言うコメンテーターの人気が出たりするんですよね。それでどんどん分をわきまえなくなっていく。ぼくなんか視聴者の皆さんに寄生して生きてるようなものですから、もうホント空気吸うのも恐れ多いです…」
これからの日本はどうあるべきなのか。
「やっぱりね、日本人は劣等民族なんだ、米国さまに生かしてもらってるんだっていう感謝の念をもつことが大事ですよ。ぼくなんか典型的日本人の容貌でメガネかけちゃって、最近老眼も入ってきて、もうやっぱ遺伝子がどこか劣ってるんだな、って思いますもん。アメリカ人に比べたら日本人はハエですよ、ハエ。ははは。あ、おいしそうな残飯が見える。ぶーん…」
見えない残飯を追い始めた勝谷さんと別れた記者は、今夜から寝る前のブッシュ様への懺悔の時間を欠かさないようにしよう、と心に決めた。