電気用品安全法(PSE法)施行に伴い4月から認証を受けていない中古家電製品が販売できなくなる問題について14日、経済産業省は「ビンテージものの電子楽器は対象外とする」と発表した。同法については著名音楽家の坂本龍一氏らが見直しを求めていた。今回の決定はこれらの動きを受けたものとみられる。
中古家電を販売するリサイクル業者らも安堵の声をあげている。
PSE法は寝耳に水で「在庫がぜんぶごみになるのか」とショックを受けた。今回の対策で、この「洗濯機型電子ドラム」も堂々と販売し続けられるよ
と語るのは都内で中古家電店を営む吉田健二さん(48)。指し示すのは「サンヨー」とロゴの入ったドラムだ。スイッチを入れると給水しながら中のステンレス槽がまわり、スティックで叩くと不思議なリズムを楽しめる激レア品だ。演奏中に洗濯することもできる。
「レンジ型電子ベル」も見せてもらった。タイマーをセットすると一定時間経過後に「チーン」となるビンテージ楽器。演奏終了後には冷凍ポテトも楽しめる。
PSE法は、こんなユニークな電子楽器も闇に葬り去ろうとしていたんだ。見直しは当然だよ
と吉田さん。
秋葉原の路地裏で、かつて一世を風靡した任天堂製シンセサイザーを売る店も見直し決定を歓迎している。コンパクトな紅白の筐体にカセットを差すだけでさまざまな音を楽しめる、この名機。専門店「ソフマップ」の店員に聞くと、今でも熱心なミュージシャンが音源カセットを買い求めに来るという。
イチオシはこのカセットですね。長い楽曲を演奏するには超人的な熟練が必要なんですが、そこがまた魅力で…
と試しに演奏してくれたカセットには「スペランカー」という音色名が書かれていた。
今回の措置で、中古業者を不当に圧迫する最悪の事態は避けられそうだ。しかし、識者の中には「急に電子楽器の種類が増えた気がする。おかしい」と指摘する声もある。