北朝鮮が25日、咸鏡北道豊渓里付近で地下核実験を強行したことを受けて、国際社会から非難が集中している。追加的な核実験を行わないよう求めた国連安全保障理事会決議を無視した北朝鮮の挑戦的な態度に、各国は「核軍縮に向かおうとする世界の風潮に逆行するものだ」と相次いで非難声明を発表。日本でも、麻生太郎首相が
「地下で核実験をおこなうとは野蛮きわまりない。わが国ならステンレスバケツを使う」
と毅然とした態度で抗議の姿勢を見せた。
実験がおこなわれたとみられる午前9時54分ごろには、韓国の地震観測装置がマグニチュード4.5の人工的な揺れを確認している。北朝鮮が地下で核爆発を起こすという稚拙な実験をおこなったのは、もはや疑いようのない事実だ。
「地下核実験では、地震などによる周辺地域へのダメージのほか放射性物質の漏洩などさまざまな影響が心配される。なぜ事前にわが国に技術協力を求めなかったのか理解に苦しむ」
と語る。
日本の独特な核実験能力については国際的にも評価が高い。
「JCO方式」
と呼ばれるこの手法では、使用するのはウラン溶液とステンレスバケツのみ。あとは適当に人力で溶液をかきまぜるだけで臨界実験が可能だ。野蛮な爆発などは一切起こさず、周りに放出されるのも目に見えない中性子線だけであるため
「きれいな核実験」
の異名ももつ。“きれい”なだけあって、住宅地や都市部での実験がおこなえるのも狭い国土しかない国には魅力だ。
政府では「北朝鮮はこれ以上愚行を繰り返すべきではない」との見解を表明しており、
「核実験を、わが国が技術協力するJCO方式に全面的に切り替えるのであれば、米国-北朝鮮二国間の直接対話をお膳立てする用意もある」
としている。北朝鮮もこの提案には興味を示しているもようで、すでに「技術者を訪日させるので東京都心で共同実験させてもらえないか」と非公式な打診が来ているという。