「チーム・バリスタの芳香」「ナイチンゲールの股間」などつぎづぎにヒット作を飛ばしている医療ミステリ作家・海堂尊原作作品が、ふたたび映画化された。竹内結子・阿部寛の名コンビも再び銀幕に帰ってきて大活躍するのが、この
「ジェネラル・ルージュの伝言」
だ。果たして、今回は白い巨塔でどのような事件が巻き起こるのか。そして真犯人は果たして…。
あらすじ。病院内でコーヒーの芳香に異常にこだわるドクターが暴れるというチーム・バリスタ事件から一年が過ぎた。院内の倫理委員会委員長を務めることになった田口公子(竹内)のもとに、一通の告発文が届いた。
「上司にカラオケ同伴を強制され、毎晩毎晩同じ歌を聞かされる」
とパワハラを訴える内容だった。しかも、曲目は今どき「ルージュの伝言」だというのだ。事態を重く見た厚生労働省は、役人の白鳥圭輔(阿部)を派遣。ここに田口・白鳥の名コンビが復活し、犯人究明に全力を尽くすこととなった。
第一の容疑者は、救急救命センター長の速水(堺正章)。根っからのユーミンファンで、過去のシングル・アルバムを全曲そろえているほか、中島みゆき信者を敵視するあまり
「ジェネラル・ルージュの伝言」
とあだ名の付けられている人物だった。しかし、捜査を進めるうちに「現場では“ルージュの伝言”以外にアニソンが大量に歌われる」という謎が浮かび上がってくる。果たして、犯人は本当に速水なのか。それとも宮崎駿好きのアニオタなのか…。謎が謎を呼ぶなか、「安田成美のヘタな歌を歌う」というさらに悪質な犯行が…。
人気医療サスペンスの続編という期待を裏切らない内容で、少なくとも原作ファンは必見だろう。しかし、注目すべきは救急救命センター長の速水が歌ばかり歌ってまともに仕事をしていないという描写だろう。救急患者のたらい回しなど医療崩壊の背景には、けっして政治の無為無策などがあるわけではなく、現場のモラル不足や速水のようなモンスタードクターの跋扈があるのだということを鋭く指摘している。社会派的な側面ももった力作だと感じた。