米アップルが「iPhone 3G」発売にあわせて始めたオンラインサービス「MobileMe」で、トラブルが続いている。同社は利用者補償のため20日までに無償提供期間の再延長を決めたが、事態は深刻だ。原因として「サーバOSの選定を誤ったのでは」などともささやかれており、アップルは信頼を損ねかねない瀬戸際に立たされている。
MobileMeは旧「.Mac」をグレードアップしたオンラインのドキュメント統合管理サービス。しかし旧サービスからの移行時にトラブルが発生し、ユーザーが利用できなくなるほか特定期間のメールが消失するなどの事態が相次いでいた。これを受けてアップルでは、いままで二度にわたり無償提供期間の延長を決めるなど対応に追われている。
原因として疑われているのがMobileMeの基盤となっているOSだ。同サービスでは、名称とロゴから一目瞭然のとおり、全面的に
「Windows Me」
を採用している。省リソースで動作し、一線を退いた今は非常な安価でライセンスを購入できることに着目したためだ。しかし、サービスイン直後からデータセンターではブルースクリーンとなったMeホストのリブート作業で保守要員が忙殺されるありさまだという。
ことここに至って、アップル社内でも「なぜMeを選んだのか。安定性を考えたら98SEだろ常考」などと非難が沸騰しているとの噂もある。いっぽう、アップル製品に詳しいライターの林信行さんは
「MobileMeの不調は仕様。アップルは“だから個人情報を一カ所に集積するのは危険”という警告を、身をもって伝えようとしているのだ」
と話している。やはりアップルはすばらしいと言えそうだ。