家庭用品をつかって発生させた硫化水素で自殺する事件が相次ぎ、社会問題化している。各地で洗剤の販売を自粛するなどの対応が進みつつあるが、状況はさらに悪化。ネットでは新たな手口を使った自殺の情報がやりとりされ、ブームになっているようだ。はたして社会は、こうした自殺の流行にどのような対策をとっていくべきなのか…。
硫化水素は、ごくありふれた家庭用洗剤をまぜあわせるだけで発生する有毒ガス。毒性が強く、数呼吸で呼吸困難を起こし死に至ることからネットで「自殺に最適」と口コミが広がった。しかし、大量のガスが発生することで周辺住民などを巻き添えにする事例が多く、掲示板情報の削除や製品販売の自粛など対策が進んでいる。この規制の網を逃れ「もっと簡単に自殺できる」と人気を集めているのが、
「酸化水素自殺」
だ。
酸化水素は硫化水素も真っ青な有毒物質。地球上にある液状の毒物は、ほとんどがこの酸化水素を含有しているということからも有毒ぶりが伺える。また、厚生労働省によると昨年一年間に国内で発生した死者のすべてが、過去になんらかのかたちで酸化水素を摂取させられたことがあるという。しかも全国のスーパーやコンビニで安価に販売されており非常に入手しやすい。ネットでは、この酸化水素を使って
「いちどに10リットル摂取するだけで苦しまずに死ねる」
「ほかに食事を摂らず酸化水素だけを1リットルずつ飲んでいると、日に日にやせ衰えていく」
などの“自殺指南”がまことしやかに流布されており、新たな自殺ブームを巻き起こしつつある。
東京都水道局では、
「これから暑いシーズンが近づくにつれ、酸化水素不足が深刻になっていく可能性がある。一滴一滴を大切にする意味でも無謀な酸化水素自殺はやめてほしい」
と警告している。それにしてもこの天国のようなわが国で、他人の迷惑を顧みず自殺する者が後を絶たないのはなぜなのか。自殺防止には、やはり
- 毎朝の通勤電車でのスキンシップを強化する
- サービス残業をもっと楽しくできる制度の導入
- 匿名掲示板ベースでの巨大相互監視社会の実現
といった施策を推進していくことが必須であろう。