北京五輪をひかえ、世界各地で中国のチベット問題に対する抗議がさかんだ。聖火リレーでは、おとなたちがさまざまな妨害活動で怪気炎をあげた。だが今やその動きはおとなだけにとどまらない。抗議の輪は子どもたちのあいだにも広がりつつあるようだ。
先週末から抗議活動をはじめたのは、都内世田谷区の小学校に通うたかしくん(11)。
「漢字は、チベット暴動を力でおさえこんだ中国由来の文化。恭順につながる漢字書き取りはボイコットする」
と宣言したのだ。ちょうどクラス担任が「ゴールデンウイークは毎日漢字書き取り10ページ」という宿題を出した直後だっただけに、たかしくんの抗議はクラスに大きな衝撃を与えた。
日本の子どもたちへの民主主義と自由の定着ぶりによるものだろう。クラスでは男子を中心に「たかしの言うとおりだ。おれたちは宿題をしない」と賛同する者が相次いでいる。なかには女子の委員長のように、
「たかしくんは先生にいじわるをして、いけないと思います」
などと反対する向きもあるが、「吉沢はいい子ぶってんじゃねえよ」といった批判を前にいまひとつ盛り上がりに欠けるかっこうだ。反中国・反書き取りの炎は、じわじわとその勢いを増しつつある。
子どもたちの崇高な抗議に、おとなたちも積極的に支援していこうという動きを見せている。世田谷区在住のたかしくんのおかあさんは、たかしくんの反書き取り運動に続けとばかり
「部品のほとんどが中国産の携帯ゲーム機やiPodは、ぜったい買わない。もちろん“モンスターハンターポータブルG”などもってのほかだ」
と不買運動をはじめた。親御さんの尊い理解を得て、たかしくんも目に涙を浮かべて感動していることだろう。親子の絆が育む“フリー・チベット”の想い。届け中国に。