東京都杉並区の和田中学校がはじめた夜間の有料授業「夜スペシャル(夜スペ)」。「校舎の目的外使用にあたる」として区民の差し止め請求を受け一時休止状態だったが、新たに
「夜・個人授業」
と改名。内容の見直しを経て再スタートを切った。こんどは生徒のみならず地域のおとなたちからも好評で、「一皮ムケたおとなになった」と感謝の声さえ寄せられているという。
平日の7時すぎ。和田中学校はピンク色の空気につつまれる…。夜・個人授業のはじまりだ。
「うふふ、若いんだから…こんなに元気…」
熱心な男子生徒たちをピチピチの女子大生がやさしくリード。学業だけでなく、恋愛、そして生きる悦びを身をもって教えてくれる。時には「ああッ! せんせいっ、もうダメです…」とくじけそうになる男子もいるが、そんなときは「だぁめ。もうちょっとがまんしなさい」と厳しく叱ってくれる。生徒の進度・硬度に合わせた徹底的な個別指導。これが夜・個人授業の真骨頂だ。
発案者は同校校長で民間出身の藤原和博氏。地元の女性派遣会社複数社と提携して実現した。
「夜スペは不評だったが、これなら生徒・父兄の理解を得られると思った。夜・個人授業なら、ゆとり教育の弊害を吹き飛ばすだけでなく、少子化問題解決にも貢献できる」
と自信を伺わせる。実際、スタート以来一ヶ月経つ現在までお父さんたちからはまったくクレームがなく、むしろ「私たちも個人授業を受けたい」という問い合わせさえあるほどだとか。
夜・個人授業を受けている和田中二年のAくんは
「すごくイイ勉強になっている。先生に夜の個人授業を受けはじめてから、一皮ムケたおとなになった気がする」
と語る。ただ、受講者の一部からは「太陽が黄色く見える」「げっそり痩せた」など体調の不良を訴える声が出ている。とはいえ、記者も「自分が子どものころにこんな授業があったら…」とうらやましく感じさせられたこの授業。カリキュラムを地道に改善するなどして長く続けてほしいものだ。