ゼブラのアイデア文具「チェックペン」と「チェックシート」。受験生にはおなじみの必携グッズだが、これがいま大阪で飛ぶように売れている。文具店では店頭在庫が払底するほどの売れ行きだとか。購入しているのは大阪府の職員。その用途は…と聞くと、なんと「府の財政赤字解消のため」。
大阪府庁イチのチェックペンの使い手と呼ばれる会計局職員・難波達彦さん(54)にお話を伺った。
「まあ、論より証拠。実際に使うてるところを見てもらうんが早いやろ」
と、持ち出してきたのは分厚い帳簿。表紙には「府債償還計画」と書かれている。パラパラとめくり次年度の予算繰りページを開いて、おもむろにチェックペンを取り出す難波さん。慣れた手つきで「要返済額」の項目を塗りつぶしはじめた。
ひととおり塗りおえると、難波さんはニヤリと笑いながらチェックシートを差し出す。記者は言われるがまま、おそるおそるシートを重ねて帳簿を見た。すると奇跡は起きた! 驚くべきことに2,600億円もあったあの巨額の赤字が消えている!
「なあ、すごいやろ。いま、職員総出でこの作業に取りかかっとるところや」
と難波さん。
ご存じのとおり大阪府は「財政再建団体」転落寸前というきびしい台所事情にある。しかし、難波さんらの“チェックペンマジック”が府の借金を大幅に圧縮。見た目はまったく健全な状況に回復しつつあるという。地方発のこうしたアイデアに、国も熱い視線を寄せている。先日記者会見でこの件について質問された福田首相は、
「ほんとうですか。すばらしいですね。参考にさせていただいて、赤字国債の解消や内閣不支持率の消し込みにぜひ役立てたい」
と回答していた。国レベルでチェックペンが活用される日は、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。