大手不動産デベロッパの月極(本社:東京)は、森ビル株式会社(本社:六本木)の株式公開買い付け(TOB)に乗り出す方針を16日までに固めた。ビル開発に強い森ビルグループの取り込みにより、駐車場運営偏重で脆弱とされてきた自社の経営基盤強化を目指す。
月極は北海道から沖縄まで全国の駐車場のおよそ9割を運営する大手。バブル崩壊後の土地活用ニーズの高まりを受け、2000年には上場を果たすなど右肩上がりの成長を続けてきた。しかし、ビル・複合施設の開発分野に関しては進出が遅れており、アナリストから経営基盤の脆弱さが指摘されていた。
「実績のある他社の取り込みで一挙に総合不動産業への飛躍をはかりたい」と考えた月極は、今年夏ごろから水面下で森ビルに合併話を持ちかけていた。しかし、森稔社長ら森ビル側経営陣が
「駐車場経営会社ごときに買収されれば森のブランド価値が毀損される」
と、これを拒否。月極側も話し合いによる交渉は不可能と判断し、TOBに乗り出すことを決めた。
月極の月極万社長(56)は、
「弊社が全国に抱えるネットワークと森ビルの企画力を合わせれば、業界随一の企業が生まれることは間違いない。株主の皆さんだけでなく多くのステークホルダーの利益になる。TOBを滞りなく成功させた暁には、“六本木ヒルズ”を
“月極ヒルズ”
にしたい」
と意気込みを見せる。同様の敵対的TOBについては、釣り堀チェーンの「国際」が釣り具大手・上州屋に対し公開買い付けを準備中であることが注目されているが、月極対森ビルの動きからも目が離せそうにない。