“犬マンガ”の第一人者で知られる高橋よしひろが、猫をテーマに新境地へ挑んだ意欲作。「週刊モーニング」連載中の「チーズスイートホーム」(作:こなみかなた)と同じ世界を舞台にしたパラレルワールドものであることも話題を呼んでいる。
あらすじ。額に流星のあざをもつ子猫・チーズは、雨の中捨てられているところを人間の家族にひろわれ愛の温かさを教えられる。
「こんなにやさしい人間たちと、猫がなかよく共存できる世の中を実現したい…」
チーズはそう思うのであった。
そのころ九州地方では、猫アレルゲンを武器に打倒人類を企む
「西表山猫軍団」
が数百匹の徒党を組み、一路東京をめざして北上しつつあった。恐ろしい軍団の野望を察知したチーズは、恩義ある人間たちを守るため旅立つ。師匠であるクロとともに、一路西へ。必殺技・猫パンチを携えて…。
あの愛らしいチーズを高橋よしひろが描くとこうなるのか…と圧倒されるアクションシーンが満載の快作だ。西表山猫軍団の双子の刺客が繰り出す「スカイラブニャリケーン」など、カッコイイ技ももりだくさんである。今までの軟派な猫マンガを超えた、真の意味での猫マンガの時代が来年あたりからはじまりそうな勢いだ。唯一危惧されるのは、このマンガがあまりにリアルなため、読んだ子どもたちが
「うちの猫も殺人技をもってるの?」
など、現実とフィクションとの区別をつけられなくなるのではないかということだろうか。