各企業が厳しい競争にさらされるなか、経費節減の重圧が直接のしかかっているのが一般のビジネスマン。いきおい、地方出張にかけられる交通費も予算切り詰めの社命が下っており、規定額の支給ではなかなか快適な旅を楽しめないのが現状。そんななか、安上がりで地方都市にサッと行けると評判なのが、国内各路線へ採用がすすむボンバルディア社の中型航空機だ。
「とにかく足が出ないんです。びっくりしました」
と喜ぶのは、仕事で頻繁に高知県に出張する東京在住のビジネスマン(49)。かつては大阪経由の飛行機を乗り継いで現地入りしていたが、最近お気に入りなのはANAがボンバルディアDHC8-Q400を就航させている直通路線だ。経費が安上がりで、以前のように自腹を切る必要がなくなった。飛行中も快適で、目が覚めたら天国にいるのではないかと思えるほどの心地だという。
人気の源泉は、ボンバルディア社の徹底したコスト削減姿勢だ。カナダ系企業の同社は、もともと全木製の名戦闘機で知られるデハビランド社の流れを組む名門だが、戦後はボーイングにおされ市場シェアが急落。そこで、
「利用者に足を出させないことに特化」
し、製造ラインをすべて見直してコストダウンに努めた。人員も、足の出ない幽霊を採用するなどの徹底ぶり。
おかげで、今では日本国内のほとんどの地方路線でQ400の採用が進み、同市場でナンバーワンの航空機サプライヤーとなった。
「今後も日本のお客様の信頼できる“足”になっていければ…」
と、取材したボ社の営業担当ははにかみながら自信の笑顔を見せていた。