2036年に地球に衝突する可能性があるとされている小惑星に対し、ロシア宇宙庁が衝突防止の計画を立案・推進していることが4日までにわかった。AP通信が同庁のアナトリー・ペルミノフ長官の談話として伝えたもの。これまでに米国などが提案した防止策に比べると低予算で実現性が高いことが特長の計画となっている。
問題の小惑星は04年に発見された直径270メートルの「アポフィス」。36年に25万分の1の確率で地球に衝突する可能性があるとされ、実際に地上に落下すればフランス全土に相当する地域が焦土と化し生態系に深刻な被害を与えると心配されていた。米NASAは衝突を食い止めるため
「トラクタービーム(重力牽引光線)で引っ張る」
案を構想しているが、数千万ドルと見込まれる開発費と技術的ハードルの高さが悩みの種だった。
ペルミノフ長官の話では、ロシア宇宙庁は
「使用済み鉛筆のゴミを大量に小惑星の進路にバラまく」
ことで地球との衝突コースからそらす方法を考案したとのこと。鉛筆は宇宙船「ソユーズ」とおなじシステムの無人輸送機「プログレス」で運び、自動でバラまくため、安価かつ簡素なシステムで実現できるという。
障害物の散布による小惑星の軌道修正は計算が難しいが、
「鉛筆でなんども筆算したのでだいじょうぶだビッチ」
とペルミノフ長官は胸を張る。はたして36年には意外なローテクが宇宙的危機から地球を救うことになるのか。当面は目が離せそうにない。