ナンバーポータビリティ(MNP、番号持ち運び制)導入をきっかけに、携帯電話市場に次々と“予想外”を打ち出し続けるソフトバンクモバイル。その最後の切り札は「お姉さんお持ち帰り0円」だった…。26日早朝。社長の孫正義氏みずから店頭に立っての発表に、詰めかけた報道陣は一様に衝撃を受けていた。
MNP開始前夜の23日。孫氏は「通話料0円」など“5つの予想外”を発表するも、6つめについては「サプライズ」としてこの日まで発表を見送っていた。東京・秋葉原のヨドバシカメラAkiba店頭に開店前に立った同氏は、
「あらゆるものを0円にしてきて、これ以上なにを0円にしたらいいか迷った」
と苦悩を吐露しながらも、
「新規契約者はソフトバンクモバイルショップのお姉さんお持ち帰り0円」
という、業界でも類を見ない新たな施策を発表した。
ソフトバンクモバイルは旧J-フォン時代のプロモーションの影響で、3キャリアの中でも女性利用者の比率が高い。これは裏返せば
「オタクが少ない」
という弱点でもあった。今回の「お持ち帰り0円」には、ARPU(契約者あたり収益)の高いオタクユーザーを「お姉さんお持ち帰りによる“脱童貞”」で釣り、ウィルコムやauからの移行を促す狙いがある。
すでに、受付嬢の質が高いキャリア直営店である“東京駅八重洲店”などには予約問い合わせが集中しており、恥ずかしげに品定めをする非モテ男子の姿も店頭に散見された。いっぽう、有識者からは「0円の罠に惑わされるな」と警告を発する声も上がっている。プロレスラー兼ケータイライターの法林岳之氏は、
「お持ち帰りは0円でも、家で囲っているとなんやかやとお金がかかるのがオンナ。気づいたら年一千万貢がされていたなどという例もある」
と語気を荒げる。
いっぽう、懸念されるのがソフトバンクの収益への影響だが、これら「0円施策」の原資は「全端末の充電スタンドを別売りにして稼ぐ」ことになっているとのこと。26日の東証での同社株価は、おおむね好感して一時前日比120円高となった。