ついに地球温暖化の影響が実体経済にまで─。アイスランド政府が国有化した同国最大手のカウプシング銀行は、事実上のデフォルト(債務不履行)状態となった。金庫に貯めていたお金がすべてとけてしまったためで、国有化された銀行のデフォルトは世界的にも極めて異例。原因は昨今の年平均気温の上昇と見られる。
アイスランドは北海に浮かぶ島国。寒冷な気候のため、名前のとおりすべてが氷漬けの“氷の国”としてよく知られている。さまざまな日用品もぜんぶ氷でできており、もちろん通貨であるアイスランド・クローナも氷製。貨幣発行費用が安くすむこともあり、従来の寒冷な気候ならこれで万事うまくいっていた。
しかし、地球温暖化が進むにつれアイスランドの平均気温も急激に上昇。昨年ごろから「持ち歩いていたお金がとけた」などの苦情が国民から相次ぎ、民主議会「アルシング」が「金は保冷バッグに入れて持ち歩くよう」にと通達を出していた。だが、対策もむなしく屋内の氷もとけはじめ、今月中旬には大手銀行の金庫内にあった貨幣がすべて消失。ついに対外債務の支払いが不可能となった。
オラフル・ラグナル・グリムソン大統領は関係官庁に「あたたかくても使える“水製の貨幣”を作るように」と指示しているが、混乱は当面避けられそうにない。隣人を思いやったり助け合ったりしない冷たい氷のココロは「自己責任教」としてすべて日本に輸出しているため、温厚な国民性で知られるアイスランド。なんとか隣人愛でこの危機を乗り越えてほしいものだ。
- 2008
- 10/30 15:50