消費期限切れ原料の使用で販売休止に追い込まれていた大手菓子メーカーの不二家が、23日に洋生菓子の出荷を再開した。1月以来倉庫で眠っていた大量のシュークリームなどが2ヶ月半ぶりにようやく陽の目を見たことで、社員らは一様にほっとした表情を隠せないでいる。
この日販売を再開したのは、同社直営店などおよそ200店舗。取材した都内の店舗には、早朝にトラックで菓子が搬入されてきた。内容は主力商品のシュークリームやショートケーキなどで、いずれも出荷停止となってからは本社倉庫でこの日がおとずれるのを待っていたものばかり。
「倉庫代もバカにならないし、どうしようかと思っていたんですよ」
とは、立ち会った不二家社員の弁。
新生・不二家の生菓子は、問題発生前とは一味も二味も違う。2ヶ月半の時間でたっぷり熟成された逸品だ。シュークリームの表面にはバニラビーンズのような黒い斑点がまぶされている。子どもたちに人気のいちごショートは、ドライフルーツ状のいちごに緑色のケバ立ったトッピングが施された自然志向のケーキに大変身。
「今後は、こうした素材のおいしさをじっくり、時間をかけて引き出すことに注力していきたい」
と先の社員は自信ありげに語る。不二家の再チャレンジは、まだはじまったばかりだ。