マルチメディア、インパク、IPv6…IT業界には、政府が号令をかけながら成果の上がらなかったものが数多く存在する。安倍内閣が掲げる
「オープン&イノベーション戦略」
にも、「またかけ声だけに終わるのでは?」と疑念を呈する声が聞かれる。しかし、その心配は無用だ。新内閣には、インターネットでCGMサイト運営に積極的にかかわり、イノベーションを日々巻き起こしているエキスパートがいるからだ。
そのエキスパートとは、先ごろ内閣府政務官に就任して注目を集めた山谷えり子氏(本名・小川惠里子。56歳)。この年齢で女性とくればデジタルディバイドに苦しんでいそうだが、さにあらず。彼女が居をおく参議院議員会館611号室(IPアドレス202.95.218.18)からは、夜な夜なキーボードを叩く活気に満ちた音が聞かれる。インターネットでの活動にいそしんでいるのだ。
山谷氏が中でも力を入れているのは、フリー百科事典としておなじみ「Wikipedia」の編集だ。参議院比例区当選一回の豊富な経験を活かし、政治分野各項目の充実をはかっている。中でも最近力を入れているのは、統一教会と関係をもつ政治家の記事の整理。アンチ・ジェンダーフリーの観点から、過去に夫婦別姓に賛成していた不埒な議員まわりの作業にも余念がない。
「インターネットは立派なメディアのひとつですからね。おかしなことが書かれていては困ります」
とほほえむ山谷氏。都合の悪い情報が載っていればすぐに消すさまは、まるでプロのIT起業家だ。
ネットの力に着目したのはサンケイグループの社員だったころだという。
「サンケイの新聞は東京本社版の部数が一地方紙である東京新聞の二倍にも届かない、たった90万部。左翼傾向のある大阪版や他紙の買収でなんとか全国紙のようなふりはしていますが、まだまだ。国民をじゃんじゃん煽って、邪悪な男女平等思想から解放するには洗脳力が足りません。こんなことを言うとサンケイ関係のブロガーがまたいきりたちそうですが…」
と苦笑する。
現在は、安倍総理や経済産業省などに助言を行い、インターネットで適切な情報だけを検索できるようにする
「情報大航海プロジェクト」
の舵取りも行っている。「グーグル八分」に詳しい知見を買われてのことだ。
「インターネットに“美のイノベーション”を起こして、総理のめざす美しい国づくりに貢献したい」
と語る山谷氏の瞳は、まさにイノベーターらしい輝きに満ちていた。