東京大学宇宙線研究所は1日、オリジナルブランドの清涼飲料水として
「南カミオカ天然水」
の発売を開始した。すっきりとしたのどごしと、チェレンコフ光で青く光るのが特徴。販売拠点は全国コンビニエンスストア。
東京大学宇宙線研究所は、素粒子ニュートリノの観測などで有名な施設「スーパーカミオカンデ」を運営する研究機関。小柴昌俊東大教授のノーベル賞受賞のきっかけとなったことでもおなじみだ。日本の科学力の象徴と目されているカミオカンデだが、2001年に工事のおじさんが光電管を足で踏んづけたために装備の70%を損失する事故が発生。大損害をこうむった。
その後、観測を中止して破損光電管の交換作業を行っていたが、この夏にようやく完了。先ごろ再稼働にこぎつけた。問題は再建にかかった費用100億円を今後どう支払っていくか。民間金融機関からの一時貸し付けでしのいだものの、返済期限が迫っている。政府も東京・日本橋の化粧直しに6,000億円かけるほうが大事なため支援をしぶったままだ。
そこで考え出されたのが今回の「南カミオカ天然水」販売事業だ。スーパーカミオカンデにたゆたう豊かな水を汲み出し、飲料水として販売する。ラベルにはノーベル賞受賞者の小柴教授の顔写真つきだ。担当者は
「学歴とブランドイメージに弱い日本の消費者には、きっと満足してもらえると思う」
と自信を見せる。
カミオカンデならではの青いチェレンコフ光をいっそう楽しめるように、六ヶ所村との提携で高濃度のウラン溶液を配合した。「ひとくち飲めば喜びも臨界に達するはず。日本の科学技術支援にもなる」と研究所は大人買いを勧めている。