「とにかく性欲をもてあましています」─杉並区在住の佐藤洋一さん(35)=仮名=は、年末のクリスマスイブが近づくにつれ表情が険しくなる。齢三十をこえていまだに童貞。政府が出会い・脱童貞支援策に本腰を入れてくれないことに不安を覚える毎日だ。
毎月、同居する父母のこづかいなど約24万円で暮らす。自宅警備のあいまに食べるコンビニ弁当や宅配ピザで、8万円以上かかっている食費も増える一方だ。深夜アニメ放送日の実況中夜食はピザ8枚でしのぐこともある。8枚と聞いて驚かなくなったバイト店員には感謝している。
童貞にとっていちばん負担になるのは性欲処理のためのオカズ購入費だ。エロゲーや成人コミック、ホールなどで毎月5万はかかる。Windows 7では動かないエロゲーが多いため、新たにXP専用機を10万出して買うなど思わぬ出費を迫られることもある。
「私がこれほど困窮しているのも、ひとえに彼女がいないせい。私に何が必要か、政府には真剣に考えてほしい」
「友愛」を掲げて衆院選に圧勝したにもかかわらず下々の性愛格差に目を向けない鳩山政権には失望しているという。節約できるのは洋服代ぐらい。今年の冬もユニクロの通販で買ったXXLのスウェットで乗り切る。「浮いたお金でもう一枚DVDを買えます」と弱々しい笑顔で語る佐藤さん。取材が終わると再び日課の“ネット掲示板での弱者叩き”にのそのそと戻っていった。