「真剣に働いてきた者を裏切る行為だ」─運送大手の日本通運(本社:東京)に、労働者らが怒っている。同社は19日、個人向け宅配便事業の「ペリカン便」を廃止することを明らかにしたが、同時に従業員すべてを新規事業に配置転換することを発表。これが非人道的だと非難の的になっているのだ。
千葉県市川市の日通配送センターに勤める鈴木ペリ男さん(8)は、ペリカン便ひとすじ5年のベテラン。そんなペリ男さんが会社から「ペリカン便は廃止する」と聞かされたのは、つい昨日の夜だった。羽をバサバサさせて驚くペリ男さんに、さらに追い打ちをかけるような辞令が届いた。
「ペリカン便従業員は全員、新事業の
“焼鳥事業推進部”
に配置転換とする」
というのだ。
「本当にショックだった。物を運ぶプロであることに誇りをもっていたのに、会社にそんな目で見られていたとは…」と、ペリ男さんはくちばしをふるわせる。同社のペリカン労働者による組合・日通ペリカン連合(日ペ連)も、
「焼鳥とは…遠回しに我々に死ねと言っているのクワァ」
と正式に抗議する方針だ。
この件について、日通広報部にコメントを求めたところ、
「なにか意図を誤解されているようだ。われわれは社員を大切にすることを社是としている。焼鳥事業が不満なら羽毛布団事業部やフォアグラ推進部もある。真摯に話し合いたい」
と述べていた。