節分を迎えた3日の栃木県各地では、伝統行事となっている
「しもつかれまき」
が今年も各地でおこなわれた。いっぽうでまかれたしもつかれの後始末に県民らが総動員され、鼻をつまみながら懸命に掃除をするほほえましい風景が見られた。
他県では「豆まき」がふつうとなっている節分の行事だが、栃木では郷土料理の「しもつかれ」をまくのが古来からのならわし。夜になると「鬼は外だっぺー」の声とともに、面をかぶって逃げ惑う鬼役に
「口にふくんだしもつかれを吹きかける」
のだ。
栃木県民は豆も買えない貧困度の高さで知られる。かわりに残飯を煮詰めたしもつかれをまくようになったのが、このならわしのおこりだという。とはいえまかれるとすぐに、路面に飛び散ったしもつかれがすえた臭いをはなちはじめ、思わず「もらいしもつかれ」しそうになる。そこで節分の日には県民が集って掃除することになっているのだ。
ふとどきな県民のなかには「ただのゲロの吐きあい。悪習を絶つべき」と声をあげる者もいるが、即粛清される。「しもつかれまきをされていやがるかどうかで、同県民かわかる」ことから、隣県より忍び込むスパイのあぶり出しにも使われているという。ほほえましい文化を将来まで伝えてほしいものだ。