全国的に14日のバレンタインデーが近づきつつある。栃木の女性─とちおとめたちにとっても例外ではなく、意中の男性に愛を伝える準備におおわらわだ。ただし、ここ栃木では女性が男性に渡すものはチョコではない。愛すべき郷土料理の
「しもつかれ」
である。
とちおとめたちのしもつかれ作りは、人目につかぬようひっそりおこなわれる。まず、台所にある余りものの大根や魚のあらなどを食べる。胃に材料が行き渡ったところで日本酒とビールをチャンポンで浴びるように飲み、頭をぐるぐる揺らすなどしているとしもつかれができる。できたてのすえたにおいを好む下野男児も多いが、持ち歩きの際にバイオテロと誤認されることがあるため、1~2日ほど冷蔵保存して熟成させバレンタインデー当日を待つのがコツだ。
栃木独特のしもつかれによるバレンタインは、他県男性にも
- チョコのような舶来の邪悪な品でない
- 栃木県人の素朴な人柄が伝わる
とおおむね好評だ。そもそも栃木の女性がバレンタインに手製しもつかれを渡すようになったのは、むかし行き遅れかけの県人女性が
「めあての男性と飲みに行って、ふたりっきりの帰り道でしもつかれを渡したら、即ホテルにGoできて既成事実つくってゲットできた」
という故事による。
今でも、猛者は「バレンタイン当日、彼の目の前でしもつかれをつくる」という。「もうあとがない」という他県の女性も見習ってみるといいかもしれない。ただし、失敗すると「吐くまで飲む酒乱女」というレッテルを貼られ社会的生命を絶たれる危険性もある。初心者は注意されたし。